日影図の書き方をお探しですね。

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建物の影の調べ方:日影図と等時間日影図を使いこなそう

新しく建物を建てる時、その建物が周りにどれくらいの影を作るのかを調べる必要があります。そのために使うのが「日影図」と「等時間日影図」という2つの図面です。この2つは似ているようで、実は全く違う役割があります。今回は、初めて作る人でも迷わないよう、準備から完成まで順を追って説明していきます。

日影図と等時間日影図って何が違うの?

**日影図**は、1年で一番日が短い冬至の日に、時間ごとの建物の影を地面に描いた図です。朝8時から夕方4時まで(または朝9時から午後3時まで)、30分か1時間おきに影の形を描いていきます。この時間ごとの影の線を「時刻日影線」と呼びます。日影図を見ると、影がどちらの方向に伸びるか、太陽の高さによってどれくらい長くなるか、形はどうなるかがよく分かります。

**等時間日影図**は、地面のそれぞれの場所が「合計で何時間影になるか」を表した図です。同じ時間だけ影になる点を線で結んだ「等時間線」を描きます。例えば「3時間影になる場所」「5時間影になる場所」といった具合です。

建築の法律では「一定時間以上の影を作ってはいけない」と決められているので、法律に合っているかどうかを判断するには等時間日影図を使います。つまり、日影図は影のでき方を理解するため、等時間日影図は法律の基準をクリアしているかチェックするため、と使い分けるとスムーズです。

作図の準備:まずは情報を整理しよう

図面を作る前に、必要な情報を集めて整理しましょう。

まず**敷地の情報**として、敷地の境界線、道路、近くの建物、地面の高さなどを調べます。次に**建物の情報**として、建物の形、高さ、屋上の設備、ひさし、手すりなど、影に影響しそうなものすべてを確認します。

**測定のルール**も重要です。条例で決まっている「測定面」(どこの高さで影を測るか)と「測定線」(敷地の境界から5mとか10mの範囲)を調べます。調べる日は冬至、時間は朝8時から夕方4時まで(または朝9時から午後3時まで)が基本です。

図面の**方位は真北**に合わせ、縮尺(1/500や1/1000など)と基準の高さを決めます。各時間の太陽の位置(高さと方角)も必要で、これは専用のソフトや計算表から調べられます。

最後に、その地域の規制(例:境界から5m以上10m未満の場所では5時間まで、10m以上では3時間まで)を確認し、何時間の等時間線を描けばよいかを決めておきます。

時刻日影図の描き方:影の向きと長さを正確に

時刻日影図では、決めた時間ごとに建物の影を描いていきます。

**手順はこうです:**
1. その時間の太陽の方角から影の向きを決めて、太陽の高さから「影の長さの倍率=1÷tan(太陽の高さ)」を計算します
2. 建物の各角の高さを考えて、影の向きに「高さ×倍率」だけずらして影の形を作ります
3. 建物が複雑な形の場合は、部分ごとに分けて一番高いところの影を優先して組み合わせます
4. 各時間の影を重ねて、線の種類や色で時間を区別し、時刻のラベルを付けます

**よくある間違い**は、方角を間違える、時間を飛ばす、影の長さの計算ミス、地面の高さを考慮しない、影の重ね方を間違えることです。

日影図だけでは法律に合っているかは分かりませんが、「どの時間にどこに影ができるか」の傾向が分かり、次に作る等時間日影図の品質チェックに役立ちます。

等時間日影図の描き方と法律チェックのポイント

等時間日影図は「ある場所が合計で何時間影になったか」を面で表し、決められた時間の等時間線を描きます。

**作り方の例:**
1. 時刻日影の各影を30分や1時間ごとに塗り分け、重なった回数×時間幅でその場所の合計時間を計算します
2. 合計時間ごとに境界線をなぞって、1時間刻みの等時間線を描きます
3. 規制時間の等時間線(例:5時間と3時間)を目立つように表示し、測定線との位置関係を確認します

**法律チェック**では、例えば「5時間の等時間線が5m測定線の内側に完全に入っている」「3時間の等時間線が10m測定線の内側に完全に入っている」なら合格です。

複雑な形の建物では、等時間線の外側に長時間の影が点々とできる「島日影」が生じることがあるので、周辺も注意深く調べます。

等時間線を完璧に計算する方法はなく、作図には多少の誤差が入ります。心配な場合は、重要な点で別の方法でも計算して確認すると安心です。

完成した図面には、調べた日・時間、計算の方法、測定面の条件、使ったソフト、規制値、確認結果を書き込んで、説明できるようにしておきましょう。

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