CADにPDFを取り込む方法をお探しですね。

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紙図面やPDFをCADで使いたい!実務で使える取り込みテクニック

設計や建築の現場でよくあるのが「取引先からもらったPDFをCADで編集したい」「古い紙図面をデジタル化したい」という場面。そんな時に大切なのは、そのPDFが線や文字で描かれた「ベクター」なのか、写真のような「ラスター(画像)」なのかを見分けることです。今回はAutoCADを中心に、PDFをうまくCADに取り込む方法を分かりやすく説明します。

まずは準備から始めよう

取り込みを始める前に、PDFの正体を確認しましょう。元々CADで作られたPDFなら、線や文字をそのまま編集できる形で取り込めます。でも紙をスキャンしたPDFは画像扱いなので、そのままでは編集できません。この場合は背景として使ってなぞって描くか、専用ソフトで線に変換する必要があります。

準備として以下をチェックしておくと作業がスムーズです:
– 図面で使われているフォント(特にSHX系)をパソコンに入れておく
– 取り込み先の図面の単位や縮尺、基準点を決めておく
– 図面上の分かっている寸法(柱のスパンや部材の長さなど)を1つメモしておく

最後のメモは、取り込み後に大きさを合わせるときに使います。

AutoCADでの取り込み方法

AutoCADには2つの使い方があります。

**編集したい場合:PDFIMPORT(PDF読み込み)**
1. [挿入]→[PDFアンダーレイ]でPDFを配置
2. 配置したPDFを選んでPDFIMPORTコマンドを実行
3. ベクター部分は線分や円弧、文字はテキストとして取り込まれます

コツとして、[オプション]→[PDFデータのインポート]で[SHXテキスト]にチェックを入れておくと、文字がきれいに再現されやすくなります(AutoCAD 2018以降がおすすめ)。

**背景として使いたい場合:アンダーレイ**
スキャンしたPDFなど、編集図形にならない場合は、アンダーレイとして配置して必要な部分を別のレイヤーでなぞって描くのが確実です。アンダーレイは表示範囲を切り取ったり、透明度を調整したりして見やすくできます。

取り込んだ後は、メモしておいた寸法で大きさを調整し、レイヤーや線の種類、文字のスタイルを会社の標準に合わせて整理すると、後の作業が楽になります。

AutoCAD以外のCADを使っている場合

AutoCAD以外のCADでPDFを直接取り込めない時は、こんな方法があります:

**変換ソフトを使う**
– IllustratorなどでPDFを開いて、DXFファイルで書き出す
– オンラインのPDF→DWG/DXF変換サービスを使う(急ぎの時に便利)

**画像として活用**
– 紙図面しかない場合は、スキャンして画像を背景に貼り、重要な線だけなぞって描く
– ラスター→ベクター変換ソフトで自動変換してから手直しする

Jw_cadなど、PDFの直接編集を想定していないCADでは、画像貼り付け+なぞり描きか、DXF経由での取り込みが基本です。どの方法を使っても、最後は自社の標準レイヤーや寸法スタイルに合わせる作業を忘れずに。

うまくいくコツと注意点

**品質を上げるポイント**
– 元のPDFの品質が結果を大きく左右します
– ベクターPDFでも、細かく分かれた線や複雑なハッチングがあるとデータが重くなるので、取り込み後に不要な部分を削除したり、線をつなげたりする整理が必要
– フォントが足りないと文字が線の集まりになってしまうので、SHXフォントを揃えておくと安心

**スキャンPDFの注意点**
– 歪みや傾きがつきものなので、基準線で回転を直し、分かっている寸法で大きさを合わせることが重要
– レイヤー情報がないことが多く、全部同じレイヤーになりがち。後でレイヤー分けすることを考えて、テンプレートを用意しておくと効率的

**法的な注意点**
PDFの二次利用には著作権や契約上の制約がある場合があります。権利者の許可、版数や改訂日の記録、出典管理をしっかりして、間違いや上書きによる情報の紛失を防ぎましょう。

**チームでの作業**
AutoCADでPDFIMPORTを最大限活用するには2018以降のバージョンを使い、プロジェクト開始時にチーム全体で変換のルールを決めておくことが成功のカギです。

PDFからCADへの取り込みは、コツを覚えれば作業効率が大幅にアップします。最初は手間取るかもしれませんが、慣れてくれば強力な武器になりますよ。

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