軌跡図の書き方をお探しですね。
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大型車の軌跡図(旋回軌跡図)の作り方をわかりやすく解説!
狭い道や駐車場で大型トラックが曲がれるかどうか、事前に確かめたいときってありますよね。そんなとき活躍するのが「軌跡図」です。車がカーブするときにタイヤや車体が通る範囲を図面に描いて、必要な道幅を調べることができます。特殊車両の通行許可を取るときや、施設の設計でも欠かせない資料になります。
今回は、手描きでもCADでも使える基本的な作り方から実際の現場で気をつけるポイントまで、初心者の方にもわかりやすくご紹介します。
まずは車両の基本データを集めよう
軌跡図は「車が一定のハンドル角で曲がるとき、車体やタイヤがどこを通るか」を上から見た図にしたものです。
作図に必要な車両データは以下の通りです:
– 車の長さ・幅
– 軸距(前輪と後輪の間の距離)
– 輪距(左右のタイヤの中心間距離)
– 前後のオーバーハング(軸から車体端までの長さ)
– 最小回転半径(カタログに載っている値)
セミトレーラーの場合は、さらに:
– カプラ(連結部分)の位置
– カプラオフセット
– トレーラーの軸の配置と長さ
最小回転半径がわからないときは、前輪の操舵角とホイールベースから「R≈L/tanδ」の式で大体の値を計算できます(あくまで目安ですが)。
図面では車体の前端・後端・側面を色分けしておくと、どの線が一番外側を通るかがすぐにわかって便利です。
手描きで作ってみよう(トラック単体の場合)
右折する場合を例に説明しますね。
1. **基準円を描く**:外側前輪の中心を基準に、最小回転半径の円を描きます
2. **回転中心を見つける**:その円と後輪軸の延長線が交わる点が回転中心です
3. **少しずつ回転させる**:車体全体をこの中心まわりに15度ずつ回転させて、90度まで追います
4. **軌跡を残す**:各段階で前端・後端・外側タイヤが通る線を残していきます
5. **直進部分を追加**:90度曲がったら、ハンドルを戻して直進する部分も描きます
セミトレーラーはちょっと複雑
トレーラーが付いている場合は、連結部分(カプラ)を基準にして作図します。実際の現場でよく使われる簡単な方法はこんな感じです:
1. 移動後のカプラ位置から「カプラ〜トレーラー後輪軸の距離」で円弧を描く
2. その円弧と移動前のトレーラー中心線の交点を見つける
3. その点と移動前の後輪軸中心の中点を取る
4. 移動後のカプラからその中点に向けて線を引き、新しいトレーラーの向きとする
これを15度ごとに繰り返すと、トレーラーの内側への食い込み(カットイン)と前端の外振り(スイング)がはっきり見えてきます。
**注意**:この方法は「最大ハンドル角を90度まで保って、その後まっすぐにハンドルを戻す」理想的な運転を想定した理論上の最小値です。実際の運転では、カーブの途中からハンドルを徐々に戻すので、もう少し大回りになります。安全を考えて余裕を見込んでおきましょう。
CADを使えばもっと楽に!
手描きの原理がわかったら、CADの車両軌跡機能を使うとずっと早くて正確に作れます。
土木系CADなら:
1. [土木]→[車両軌跡]を選択
2. 描画ピッチ(15度など)と車両設定を入力
3. [連続旋回]で通りたい道の中心線をクリック、または[単一旋回]で角度・半径を指定
4. [作成]ボタンで自動生成
できあがったら、包絡線・タイヤ軌跡・中心線を別々のレイヤーに分けて、色や線の種類を調整すると見やすくなります。
車種の切り替えやキングピン位置の入力は間違いやすいので、寸法表と図面の縮尺をしっかり確認しましょう。
仕上げと現場で気をつけること
最終的な図面では:
– 車体が通る一番外側に基準線を引く
– 縁石、ガードレール、柱、段差などとの余裕を実際の寸法で確認
– 車両の詳細データ、最小回転半径、操舵条件、角度の刻みなどを注記
特にセミトレーラーは内輪差だけでなく、前端が大きく外に振れて障害物にぶつかりやすいので要注意です。
理論値は最小値であることを明記し、実際に使うときは:
– 道路の勾配
– 路肩の沈下
– 運転手の操舵の遅れ
などを考慮して、安全な余裕を上乗せしておきます。
角度の刻みは細かいほど正確になりますが、作業量も増えます。最初の検討は15度、最終確認は10度以下というように段階的に進めるのがおすすめです。
手描きとCADの結果を比べて、データ入力にミスがないかダブルチェックすれば、実際の現場との差を最小限に抑えられますよ。
軌跡図作成は慣れれば決して難しくありません。安全で効率的な車両運行のために、ぜひ活用してみてください!
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