立面図の書き方をお探しですね。
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手描きで美しい立面図を描こう!基本から仕上げまでのコツ
家の印象は外観で大きく決まります。立面図はその外観を正確で魅力的に伝える図面で、設計者だけでなく営業担当者やお客様にとっても大切なコミュニケーションツールです。でも「間取りは描けるけれど、立面図になると手が止まってしまう」という人も多いのではないでしょうか。ここでは、手描きでも美しく、実際の仕事で使えるレベルの立面図を描く手順とコツを、基本から仕上げの見栄えアップまで分かりやすく解説します。
1. まずは「準備」と「補助線」をしっかりと
立面図は1/100で描くと扱いやすく、1m=1cmで考えられるので便利です。最初に用紙へ地面のライン(GL)を引いて、そこから上に向かって基準となる補助線を順番に入れていきましょう。
二階建てなら、1階の床ライン(FL)→1階の天井→2階の床→2階の天井→軒ライン(屋根の始まり)という順番が基本です。平屋なら、床ライン→1階の天井→軒ラインで十分ですね。
窓の高さの基準線も、この段階で軽く引いておくと後の作図がブレません。多くの戸建て住宅では、床から約2m前後が窓の上端の基準になることが多いですが、メーカーの仕様に合わせて調整してください。
手描きでは、500や2000などきりの良い寸法で補助線を置いても、1/100なら問題ありません。大切なのは「全体のバランス」と「見やすさ」です。太い本線は後で描くので、ここでは薄く、消しやすい線で軽やかに進めましょう。
2. 下書きは「シルエット重視」で全体像を決める
補助線が整ったら下書きに入ります。最初に建物のシルエット、つまり屋根の形と外壁の外周を軽い力で描いて、全体のバランスを確認します。続いて窓・玄関・庇・雨樋などの主要な部分を配置していきます。
立面図は「見えるものだけ」を描くのがルールです。例えば片流れ屋根の傾斜を意識しながら、破風や軒先の見え方を整理し、窓は基準線に合わせて上下を揃えると、すっきりとした印象になります。
窓の幅や腰の高さは平面図から読み取って、立面図で矛盾が出ないように注意しましょう。まだ濃く描き込まず、気になるバランスはこの段階で何度でも修正します。
玄関まわりの素材の切り替えやバルコニーの手すりラインなど、外観のアクセントとなる位置もここで当たりをつけておくと、後の清書とハッチング(模様付け)で迷いません。
ポイントは「面と線のリズム」です。窓が横一列に並ぶなら、間隔と揃えをしっかり意識しましょう。
3. 清書は「線の強弱」と「厚みの表現」でワンランクアップ
下書きが整ったら、定規か安定したフリーハンドで清書します。外形や屋根の端、見切りはやや太め、内部の細かい部分は細めにして、線に強弱をつけると立体感が生まれます。
特に窓枠は二重線で描いて、見た目の厚みを表現するのがコツです。サッシの中央で窓の重なりが分かる程度に線を入れると「それらしく」見えます。
外壁は仕上げに応じてハッチングを使い分けます:
– 縦リブなら等間隔の縦線
– 横張りなら水平線
– 木目はゆるやかな流れ
– 石貼りは大小をランダムに割り付け
すべてを同じ濃さで描くと重くなるので、メインの面はやや濃く、脇役の面は薄くして情報量を調整しましょう。
必要に応じて軒天や笠木に細い影線を入れると厚みが出ます。清書後は余計な補助線をきれいに消して、レベル記号や仕上げ名、雨樋の位置など最低限の注記を整えると、実際の仕事で通用するレベルに仕上がります。
4. 添景・影・空で「伝わるプレゼン」に仕上げる
図面としては清書で完成ですが、プレゼンテーション性を高めるなら添景と影を追加しましょう。
まず日光を想定して片側に落ちる影を外周に沿ってベタ塗りか斜線で描くと、奥行きがぐっと出ます。窓ガラスは黒く塗りつぶすか、斜めハッチで反射感を表現すると引き締まります。
植栽は幹から上に向かって細い線を重ねると、手描きらしいみずみずしさが出ます。芝生や舗装は軽い点描や短いハッチで十分です。
空は片側を囲うように輪郭線を引いて、中を斜線で軽く落とし、雲は白抜きで残すとすっきりした背景になります。車や人物はスケール感を伝える補助として便利ですが、主役の建物を邪魔しない位置と濃さに抑えましょう。
最後に方位と面の名前を明記(例:East Elevation/東立面、South/南立面など)し、タイトルや縮尺、日付を添えて完成です。
やりすぎは禁物。情報は「読みやすさ優先」で選び、線の密度と余白のバランスを意識すれば、短時間でもプロらしい立面図になります。
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