単線結線図の書き方をお探しですね。
広告
単線結線図の描き方を分かりやすく解説!初心者でも迷わない手順とコツ
単線結線図って聞くと難しそうですが、実は電気設備の「地図」のようなものです。装置や盤の中で電気がどう流れて、どんな機器が使われているかを、シンプルな線と記号で表した設計図なんです。
複線図のように回路をすべて詳しく描くのとは違って、受電から各機器への流れまでの「全体の様子」がパッと見て分かるのが最大の魅力。見積もりや打ち合わせ、現場でのメンテナンス時に、みんなが同じ理解を持てるので作業がスムーズに進みます。
今回は初めての人でも迷わないように、準備から完成まで順を追って説明していきますね。
単線結線図って何のために描くの?基本的な考え方
単線結線図の目的は、全体の接続の様子や機器の構成、電気の容量を一目で分かるようにすることです。よく使う記号や表記に慣れてしまえば、読むのも描くのもグッと楽になりますよ。
基本的な表記ルールを覚えておきましょう:
– 相の表記:1Φ(単相)、3Φ(三相)
– 電源の種類:AC(交流)/DC(直流)
– 電圧:V(ボルト)
– 容量:A(アンペア)やkVA、kWで表示
一本の線に斜線を加えて、実際の導体が何本あるか(2線・3線など)を示す方法もよく使われます。線が交わるところで実際につながっている場合は黒い丸をつけ、ただ交差しているだけなら丸はつけません。
機器の配置は、電気が流れる方向に合わせて上流から下流へ、左から右(または上から下)に並べると見やすくなります。保護・遮断・制御・表示といった役割ごとにまとめて配置すると、後で負荷を追加したり仕様を変更したりする時の影響がすぐに分かって便利です。
安全面では、盤の接地(PE)や機器の接地(FE)の経路を必ず描き込み、漏電保護の有無や方式も書いておくと、現場で本当に役立つ図面になります。
まずは受電の仕様を整理して、最初に描く部分を決めよう
図面を描き始める時は、受電の仕様をはっきりさせることから始めます。交流か直流か、単相か三相か、電圧はいくつか、受電できる容量はどのくらいかを決めて、外部の端子台を起点に縦の母線を引きます。
端子の上か近くに「3Φ AC200V」などと分かりやすく書いて、アース端子も忘れずに用意しましょう。単相の場合は正しく「1Φ」と表記します。
次に、受電の状態が分かる表示回路を分岐で描くと、通電の確認ができて安全性も高まります。母線から小さな保護機器(ヒューズや小型ブレーカー)を通して、表示灯やパイロットランプにつなぎます。
盤面の安全を考えると、表示用にはAC/DC24Vや6Vなどの低い電圧を使うのが基本です。小さな変圧器や電源で電圧を下げて使いましょう。
記号には品名の略号(例:FU、TR、PL)と容量の値(例:3A、200/24V)を一緒に書き、分岐線には導体の本数を示す斜線を入れると、実際に作る人にとって親切な図面になります。
ここまでできれば「どんな電源を、どうやって受けて、どう見えるようにするか」が決まって、下流の設計の基準ができあがります。
主ブレーカーを選んで、分岐回路を描き分けよう
次は主ブレーカーを配置します。母線のすぐ下に遮断器(3Pなど極数を明記)を置いて、定格電流(トリップする値)とフレームサイズ、遮断容量を書き込みます。遮断容量は系統の短絡電流に合ったものを選んで、盤のスペースと将来の拡張も考慮しましょう。
下流側は負荷の一覧を洗い出して、用途別に分岐を作ります。それぞれの用途に合った描き方があります:
**モータ系**:分岐保護(MCCB/ノーヒューズブレーカー)+電磁開閉器(MC)+過負荷継電器(OL)が基本セット
**加熱器**:漏電ブレーカー(ELB/RCD)や接触器でオン・オフ制御
**制御盤内部機器**:制御電源を経由して保護・供給
水回りや持ち運びする負荷には、30mA感度の漏電保護をつけるなど、感度電流の設計理由も書いておくと良いでしょう。
分岐は上流から順番に、記号(QF、MC、TH、KMなど)と回路番号、負荷の名前・容量(kW/A)を並べて書きます。つながる点は黒い丸で、交差するだけなら丸なしで描きます。
分岐の間は十分な余白を取って、後で回路を追加する時のスペースを残しておくのもプロの心配りです。
制御電源の設計と表記ルール、最後のチェックポイント
制御電源は早めに方針を決めておきます。安全性・ノイズ対策・部品選定の観点から、DC24Vが標準的です。一次側は主回路から分岐させて、小型遮断器やヒューズで保護し、スイッチング電源や制御用変圧器につなぎます。
二次側はさらに細かく分けて、CPU/PLC、入出力、表示・操作、ソレノイド・リレーなど機能別に小さな保護を入れると、トラブルの時に原因を見つけやすくなります。
図面上にはPS、CP、FUなどの略号と出力定格、絶縁の種類を書きます。配線のサイズや許容電流、端子番号、ケーブルの種類を書いておくと、作りやすい図面になります。
最後に容量計算で主ブレーカー・分岐ブレーカーの定格を再確認し、起動電流が大きいモータには余裕係数やインバータの有無を明記します。
完成前のチェックポイントは:
– PEの連続性
– RCDの選定
– 非常停止の遮断範囲
– 表示灯の電圧管理
– 1線/3線表記の整合性
– 記号凡例とタイトル欄
提出前には「受電→主遮断→分岐保護→制御→負荷→接地」の順で指でたどって、途切れや矛盾がないかをチェックしましょう。
この手順を踏めば、誰が見ても迷わない単線結線図が完成します。最初は時間がかかるかもしれませんが、慣れてくるとスムーズに描けるようになりますよ。
広告