パースの描き方をお探しですね。

絵に立体感を出す「パース」って、なんだか難しそうで避けてしまう人も多いですよね。でも、基本の仕組みを覚えてしまえば、絵の表現がグッと広がります。背景はもちろん、キャラクターをかっこよく見せたり、構図に説得力を持たせたりするのにも役立ちます。「きちんと計算して描く方法」と「簡単に描く方法」の両方を使い分けると、挫折せずに続けられますよ。今回は、基本的な用語から実際の描き方、さらにパースを使わずに奥行きを作るコツまで、順番に説明していきます。

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パースって何?基本用語を覚えよう

パースは、絵に奥行きや立体感を表現するための仕組みです。大切なのは「アイレベル(目の高さ)」と「消失点」という2つの要素。アイレベルは、カメラの高さのようなもので、消失点は奥に向かって伸びる平行線が集まる点です。

まず「何を見せたいか」を決めて、下書きの段階でアイレベルを一本の線で引きます。そこに消失点を決めましょう。廊下や部屋を正面から見るなら一点、建物の角を見せるなら二点、見上げたり見下ろしたりする迫力のあるアングルなら三点が基本です。

ここで注意したいのは、消失点を近づけすぎないこと。キャンバスの外に大きく離すほど、不自然な歪みが少なくなります。二点透視では縦の線は真っすぐに保つ、三点透視では高い建物が上に向かって細くなって見える、といったルールも覚えておきましょう。

一点・二点・三点透視の描き方

**一点透視**は部屋や廊下を描くのに便利です。手順は簡単:
1. アイレベルを引く
2. 真ん中あたりに消失点を置く
3. 手前の面を四角形で描く
4. 奥行きの線を消失点に向けて引く
5. 適当な幅で平行線を引いて奥行きを決める

**二点透視**は建物の角を立てるイメージで描きます。キャンバスの左右の遠くに2つの消失点を置き、真ん中に建物の角の縦線を引きます。左右の辺はそれぞれの消失点に向けて線を引き、幅は好きなところで縦線を引いて決めます。窓や看板など同じものを並べるときは、同じ高さの基準線を作って、左右両方の消失点にガイド線を引くときれいに並びます。

**三点透視**は、二点透視に加えてアイレベルの上(見下ろし)や下(見上げ)に3つ目の消失点を置き、縦方向の線も収束させます。迫力は出ますが歪みも強くなるので、3つ目の消失点はキャンバスの外に大きく離し、メインの建物が変に広がって見えないかチェックしながら描きましょう。

デジタルで描く場合は、透視定規を使って消失点を画面の外に置けるように設定するのがコツです。

パースを使わずに奥行きを出す簡単テクニック

正確な透視図法が難しいときは、「伝えたいことだけに絞って楽に描く」のも立派な技術です。

まず効果的なのが**真横からの構図**。床と天井の境目、窓枠、家具の高さなど「地面からどのくらいの高さか」だけ合わせれば、短時間でちゃんとした背景になります。

次に、**物を前後に重ねる方法**。手前のものは大きくはっきりと、奥のものは小さく薄く描けば、消失点を意識しなくても立体感が生まれます。地面との接地面は難しいので、草や手すり、机の上の物などで一部を隠すと、おかしなところが目立ちにくくなります。

遠くの景色は、形の正確さよりも**空気遠近法**(遠いほど色を薄く、コントラストを弱くする)を使えば十分雰囲気が出ます。背景で主役の邪魔をしたくないときは、情報量を抑えて、必要最小限の手がかり(壁と床の境目、照明、窓の高さなど)だけ描けば、見やすさと作業効率の両方が手に入ります。

練習方法と仕上げのポイント

上達するには、段階的な練習が効果的です:

1. ラフでは必ずアイレベルを引く習慣をつける
2. 箱や棚、机など四角い物の組み合わせで簡単な背景をたくさん描く
3. 二点透視で建物の角だけ決めて、細かいところは写真を見ながら足していく
4. 三点透視は小さなサムネイルで何パターンか試して、3つ目の消失点の位置と歪み具合を比較する

写真をそのまま描き写すのではなく、写真の上にアイレベルと消失点を推定して線を引く「観察練習」もおすすめです。

仕上げでは、光と影のグラデーションを奥行き方向に沿って弱くし、色は手前ほど暖かく鮮やかに、奥ほど寒く地味にすると説得力が増します。定規だけに頼らず、最後は手描きの自然な線を少し残すと、硬い印象が和らぎます。

消失点は遠くに、線は少なく、情報は要点だけ。アイレベルで物語の視点を決めて、しっかりとした透視図法と省力テクニックを使い分ければ、パースはきっと味方になってくれます。

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